ロールプレイ「主訴・問題の把握」

ロールプレイ
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どのような問いかけをしたのか

面接試験評価項目「主訴・問題の把握」です。試験要項にはこの部分は「問題を捉え、」とシンプルに書いてあります。

この評価項目は、「キャリアコンサルタントが主訴・問題を把握しているかどうか」や「主訴や問題とは何か」という「正解」を問われているわけではありません。「キャリアコンサルタントが主訴・問題を把握する、明らかにするために、どのような質問をしたのか、どのような問いかけをしたのか」という面談のプロセスを問われていると考えるべきです。

主訴は刻々と変化する

そもそも主訴・問題は面談の経過とともに変化して徐々に明らかになっていくもので最初から「正解」があるわけではありません。キャリコンの見立てやインスピレーションがあれば、その都度クライエントに問いかけて確認していくものです。試験ではクライエント役のスタッフには事前に、「主訴」や「問題点」のシナリオ的なものは準備されているのでしょうが、面談のプロセスによって変わってくるのは当然です。キャリアコンサルタントが主訴・問題をどのように把握しているのか、していないのかは、試験官なら面談の流れを見ていれば一発でわかってしまいます。(面談直後に行われる「口頭試問」の「振り返り」で、「主訴は何だと思うか?」と聞かれるケースが多いようです。)

クライエントが何を求めるのか

クライエントのファーストフレーズは、その糸口であることは間違いありませんが、あくまで「来談動機」と考えます。この来談動機に「クライエントが何を求めるのか」「クライエントがどういう状態になりたいと思っているのか」(クライエントのニーズ=主訴)が隠されている。と考え、質問により明らかにしていく、という流れになります。

この辺りは、養成講座テキスト5相談場面の設定にあるインテーク面談に「クライエントの主訴をクライエントとともに確認する」にも記述があります。

主訴を確認する万能質問

来談動機を聞いても何かピンとこない時があります。その表情や語り草から何か引っかかるものがある。抽象的な表現でよくわからない。そんな時にどのように質問すればよいか迷います。

そんな時に万能な質問の仕方があります。それは、伝え返した後「それってどういうことですか?」と聞くのです。そして返ってくる答えでも不明な点があれば、伝え返した後「それってどういうことですか?」と。不明なもの抽象化されたものが具体化されるまで繰り返すのです。

「それ」という限定しない表現がミソです。これを「◯◯って、どういうことですか?」と限定した言葉にしてしまうと、クライエントは自分の内面に意識が向かわず、キャリアコンサルタントの質問に答えようとしてしまうのです。何も限定しないこのようなフルオープンの質問は、キャリアコンサルタントが知りたいことを聞くためのものではなく、クライエントの内省を促すための質問なのです。このように聞かれたクライエントは、キャリアコンサルタントから伝え返された直前の自分の発言を自問自答し、その言葉の中から一番話したいことを話し出すのです。

具体的なことが明らかになってくれば、自ずと「主訴」(クライエントのニーズ)は見えてきますし、クライエントの「問題点」も明らかになってくるのです。

まとめ

クライエントは、現在の不快な状況がなぜ起こっているのかわからない、どうしたら良いのか分からないので、相談に来ているのです。来談動機(ファーストフレーズ)とはクライエントの「仮の訴え」のことです。不快な状況をつくっている原因そのものが「クライエントの問題点」です。「どうなりたいのか」「どうありたいか」というのが主訴ということになります。また、「不快な状況」は、クライエントの自己概念と経験が不一致の状態であるために起こっているのです。この「不一致」を解消するためには「自己概念の修正」が必要です。過去の出来事(経験)は変えられません。変えられるのはその出来事の「受け止め方」なのです。「受け止め方」を変える唯一の方法は、クライエント自身の「気づき」です。キャリアコンサルタントは、その「気づき」への道のりをクライエントとともに歩み、支援していくということです。

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