面接試験本番で頭が真っ白になる
実技試験の面接試験でのロールプレイ。意識はクライエントに向けて集中させると分かっていても、いざ試験本番となるとやはり緊張してしまい、頭が真っ白になってしまうということもあるかと思います。これは面談経験の少ない受験生が試験会場という特殊な環境で行うため、最初は誰でも緊張するのです。緊張のため「今まで練習してきた成果を発揮できなかった」「必ずクライエントに問いかけようとした思っていたことが本番では言えなかった」「次の言葉が出ず、自ら沈黙して自滅してしまった」などが起こってしまうのです。
緊張を和らげるための秘策
面接試験の受験が初めての受験生は、なおさら状況が分からず緊張してしまうのです。受験が2回目以降の方は、試験の流れとか様子が分かってきますので、その分の緊張は軽減され練習の成果が発揮できるのです。
1回目に受験される方が、この緊張を極力和らげる方法として、ロールプレイの台本(シナリオ)をあらかじめ作成しておくが有効な場合もあります。ロールプレイの練習では「今回の課題」を想定して、前回できなかったところをやってみようと取り組みますが、なかなかそれを実現できません。なぜかというと頭で考えているだけでは相手(クライエント)の相談ケースや態度、話の進め方や話す内容、など様々な状況、変化によりその場で考えるには瞬時に頭が対応できないからです。何回も同じ相談ケースで同じクライエント役の人とロールプレイの練習をしていると、お互い話の中身や展開が見えていて、想定した「課題」をクリアできたと思うかもしれません。しかしながら試験本番も含め、実践の面談は基本的には初対面、一発勝負ということになります。リアルな面談の経験を積み重ねることで、徐々にできるようになるのでしょうが、最初は自分の「課題」を達成させる内容(発言)を含んだ「台本」的なおおよその流れ的なもの作っておくと、どんな変化球が飛んできても落ち着いて対応でき、緊張も和らぎます。
台詞の台本をつくってみよう
キャリアコンサルタントのセリフの台本のとしては、次のようなものです。このようなものを自身の言葉、表現で紙に書いて作っておき、実際に言葉を発して練習しておくのです。
- こんにちは!キャリアコンサルタントの××です。どうぞよろしくお願いします。
- 〇〇さん!今日はどんなご相談ですか?
- もう少し詳しくお聞かせいただけますか?
- 何かきっかけはあったのですか?いつからそう感じ始めたのですか?
- それって、どういうことですか?
- それは〇〇さんにとって、どんな意味(価値)があるのですか?
台本の活用方法と解説
台本と言ってもたったこれだけです。作るのも覚えるのもそんなに難しくありません。ちょっと補足をしておきます。①の最初の切り出しです。クライエントにとっても試験官にとっても、第一印象を決定づける最重要ポイントとなります。ここは一度「この台詞」と決めたら変える必要のないところです。明るく、元気に、はっきり、大きな声でが基本です。試験官も受験生(キャリアコンサルタント)の最初の発言に注目しています。このときの一言、表情、仕草でまず評価されると思って間違いありません。声が小さく聞き難く、試験官から「もう少し大きな声で・・・」などと言われてしまうことのないように、しっかり準備しましょう。②で相談者(クライエント)の名前を盛り込む。ここは名前を言い間違えないよう注意が必要です。①の段階で名前を入れても良いのですが、②で入れた方がより自然な感じになります。ここでは「相談」としていますが、なるべく発音しやすい(噛まない)シンプルな言葉にしておいた方が無難です。「本日はどのようなご用件でお見えになりましたか?」みたいな長々とした言い方は、緊張していると言葉の途中で噛んでしまう場合もあり、噛んだ瞬間に「失敗した感」を抱いてしまうからです。この後のクライエントの発言が来談動機になる部分なので、ここも神経を集中して聴き、しっかりと記憶に留めます。そして、ここでのキャリアコンサルタントの「受け止め」「伝え返し」は必須となります。③「お聞かせいただけますか?」はちょっと噛みそうであれば、「お話しいただけますか?」など噛みそうもない言葉を使ったほうが無難です。ここからクライエントの話が始まります。話の中身は、基本的に仕事や職場の悩みや相談事です。どんな仕事をしているのか等、話すかもしれませんが事柄に関することは軽く聞き流し(受け止め、伝え返し)、クライエントの感情を含んでいると思われる言葉が出てくるのをひたすら待ちます。そしてその「言葉」が出てきた瞬間ににすかさず④を質問します。するとクライエントは、過去のある出来事を語りだすのです。この④を入れないと、15分間「事柄」の話に終始して「表面的な深まらない面談」となってしましますので、最重要ポイントとなります。あとは、できるだけそれを感じた瞬間の場面を詳細に再現していきます。(再現するのはあくまでクライエントで、それを手助けしていくのがキャリアコンサルタントです)いつ、どこで、誰が、何を、どうした、どんな言葉を言ったか、聞いたか、そしてその時何を感じたのか、どう思ったのかなどです。ここでキャリアコンサントは分からないこと、頭に描けないことが出てきたら、⑤を入れていきます。抽象的な表現や言葉が出てきたら具体的なことに落とし込まれるまで、繰り返し⑤を投げかけても良いかもしれません。そして、その出来事の「瞬間」「感情」をクライエントが再体験できたならば、⑥を聞いていきます。クライエントの自問自答が開始され、クライエント自らが気が付き、今後どうすべきか考えられるようになるのです。
徹底した聴き役に
このような面談の「シナリオ」は、クライエントの相談内容(ケース)によって大きく変わることはありません。面談において、ポイント、ポイントでの意図的なキャリアコンサルタントの投げかけ(問いかけ)が重要なのです。面談では、話しをするのがクライエント、聴くのはキャリアコンサルタントなのです。聴くためのキャリアコンサルタントの質問はできるだけ短く、そして的確に。あとは、ひたすらクライエントの話を聴く、ということです。
コメント