「問い1」の解き方
「問い1」は試験時間を浪費し易く、ある程度機械的、効率的な解答方法が必要です。まずは、「事例」(共通・Ⅰ・Ⅱ)の内容と全体の流れを把握します。次に指定語句に着目し、事例Ⅰ・ⅡのCCtの応答(合計12か所)の関連を特定します。その後、あらかじめ用意していた「解答パターン」に当てはめ、解答文を完成させます。
- 「説得」:事例ⅠCCt5「それでもやっていくのが仕事というもの」
- 「励まし」:事例ⅡCCt6「その話を耳にしたときにAさんはどんな反応をされたのですか。」
- 「気持ち」:事例ⅠCCt5「確かに対立することもあるでしょうね。」
- 「自問自答」:事例ⅡCCt7「その時には、どんな思いが動いていたのでしょうね。」
- 「経験」:事例ⅡCCt5「従来のやり方から変えるように意見をすると対立すると思われているのは、何かあるのですか。」
今回の指定語句に「励まし」が登場しました。この「励まし」は「頑張って」という捉え方ではなく、アイビイのマイクロカウンセリング「かかわり技法」としての「励まし」と捉えるべきです。つまり、「クライエントに話を続けることを促す」応答になります。
解答パターンの例としては下記の通りです。これに上記の指定語句の部分を当てはめ解答文を完成させます。
「事例Ⅰでは、CLの(感情)という感情を受け止めようとせず、「(内省が進まない具体的なCCtの応答の内容)」という(指定語句)のため、CLに寄り添うことなく、CLの内省が進まない展開となっている。一方事例Ⅱでは、CLの(感情)という感情を受け止め、 「(内省が進む具体的なCCtの応答の内容)」という(指定語句)のため、CLの内省が進む展開となっている。」
「問い1」の解答例
「事例Ⅰでは、Aさんの不安な気持ちを受け止めようとせず、「確かに対立することもあるでしょうね。ただね、それでもやっていくのが仕事というもの」とAさんを説得することで、Aさんに寄り添うことなく、Aさんの内省が進まない展開となっている。一方事例Ⅱでは、「従来のやり方から変えるように意見をすると対立すると思われているのは、何かあるのですか。」と経験の再現を促したり、「その話を耳にしたときにAさんはどんな反応をされたのですか。」とAさんに話を続けさせるよう励ましたり、「その時には、どんな思いが動いていたのでしょうね。」と自問自答を促すことで、Aさんの内省が進む展開となっている。」
「問い2」の解き方
キャリアコンサルタントの応答が「相応しいか」「相応しくないか」を答える問題。着目点は次の通り。
- 相談者の気持ちを受け止めて、相談者に寄り添っているかどうか
- 相談者の内省(自己探索)を促しているかどうか
- クライエントとの「かかわり技法」を考慮
「問い2」の解答例
- 事例ⅠCCt8:相応しくない(理由:キャリアコンサルタントの個人的な価値観を一方的に押しつける応答で、Aさんの気持ちを受け止めず、Aさんに寄り添っていない)
- 事例ⅡCCt8:相応しい(理由:Aさんの経験の語りを要約する応答で、Aさんの気持ちを整理させ、Aさんの内省を促している)
「問い3」の解き方
Aさんは、「ありたい自分」に意味づけられた「モノの見方・考え方」(自己概念)に自信を持てなくなった(「揺らぎ」)ため、相談に来ている
「揺らぎ」の背景には、Aさんが「他人事の世界」に追いやった「見たくない自分」「忘れてしまいたい経験」が控えている
職場や家庭で波風立たないようにすることが大切、というのは「見たくない自分」に紐づいている「借り物の自己概念」である
「見たくない自分」とは、「周りから嫌われないように逃げているだけの自分」のこと
Aさんは「見たくない自分」に紐づいた「借り物の自己概念」を抱いており、「ありたい自分」に近づくためには「自己概念の修正」が必要になる
「相談者の問題」は、「揺らぎ」の背景にある他人事の世界に追いやった「見たくない自分」を創り出しているもの
「問い3」の解答例
「他者から嫌われたくないために周りを気にして、意味のあるやりたい仕事から逃げてきた、というライフスタイル」
「問い4」の解き方
- 「ありたい自分」をしっかりと自分の中に定着される(「ありたい自分」を視点に経験を確認していく)
- 印象に残っている経験をその「ありたい自分」で説明できるかどうか検証していく(人生の今までの経験が「ありたい自分」につながっていると感じられるかなどを検証していく)
- 「自己概念」を明確にして、「ありたい自分」に基づいた経験を生み出すための課題設定(「自己概念」を実現するためにはどのようなことをすればよいのかを考える)
- 「見たくない自分」を観て「自己概念」(モノの見方・考え方)の修正を促す
- 「自己概念」に新たな経験を取り込む(「自己概念の成長・発達」)
「ありたい自分」とは、「今の自分の中」にあり、自分自身を「良い」と思う方向に向かわせるエネルギー。問題の出来事に対して「自分の問題としてとらえる」「何とかしようとする」「何とかできる」と思う世界
「問い4」の解答例
・Aさんの「ありたい自分」を明確にするため、「意味のある仕事」「人の役に立つ仕事」に関して印象に残っている出来事(経験)を語ってもらう。
・Aさんの「見たくない自分」を明確にするため、「周囲から嫌われないように逃げている」ということが印象に残った出来事(経験)を語ってもらう。
・Aさんの「問題点」を明確にするため、語られた経験が、Aさんの「ありたい自分」に基づいているのか、「ありたい自分」につながっているのか、「見たくない自分が」そこに隠れていないのか、Aさんと共に確認・検証していく。
・Aさんの「自己概念」を修正するため、Aさんの「不安」の原因が、Aさん自身のライフスタイルにあることに気づいてもらうよう、Aさんと共に考えて仕事に前向きに取り組めるよう支援していく。
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