ロールプレイ「具体的展開」(経験の再現)

ロールプレイ
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具体的展開とは?

面接試験評価項目「具体的展開」です。試験要項でこの部分と思われるところは「面談を通じて相談者が自分に気づき、成長するような応答、プロセスを心がける。」という部分です。

「具体的展開」の1つ目のポイントはズバリ「経験の再現」です。「経験の再現」を促す展開ができるかどうか、クライエントが自分自身に気付く、成長するためには欠かせない面談プロセスなのです。

JCDAの試験では「経験の再現」が重要視されていて、試験でのロールプレイで欠かせないポイントとなります。「経験の再現」を促す展開ができなかった場合、減点要素となる可能性は高くなります。

経験の再現でクライエントに変化が起こる

この「経験の再現」を行うことによって、クライエントの抽象的な概念が、具体的な出来事の再体験により、変化がもたらされ、自己概念が修正され成長していくのです。

「経験の再現」の展開に持っていくというのは重要である、と判っていても、いざロールプレイで実際の面談に入ると、どのタイミングでどう切り出してよいのか、わからず時間切れとなってしまうケースも多いかと思います。

経験の再現に導く万能の質問

経験の再現に導く「定番質問」を2つ用意しました。 ①「何かきっかけはあったのですか?」②「いつから始まったのですか?」

他にも考えられるかと思いますが、この2つでほとんどの場合、「経験の再現の展開」に持っていくことができます。過去の出来事の発端である「きっかけ」や出来事(感情)の「始まり」は、過去に何回もあったかもしれません。クライエントがそれらのことを全体としてとらえてしまうと抽象的な話になってしまい、深まりません。具体的な出来事はピンポイントに絞り込んでいく必要があるのです。そこで、一番思い出しやすい直近の話をしてもらうように「最近ではどんなことが?」「最近それを感じたのはいつ?」と意図的に時間を直近に絞り込んで切り込むことも必要かと思います。また、その中で一番強く印象に残っている出来事、一番強烈な出来事、忘れられない出来事というような投げかけをしても良いかもしれません。クライエントの中で様々な場面が思い浮かび、迷ってしまって話せない、そんな心理状態を想像し、できるだけ話しやすくしてあげるのです。そして秒レベルのその「瞬間」まで絞り込んでいくのです。

そして、そのタイミングは、クライエントの感情を含んだ言葉が現れたと思われた直後です。そんなタイミングが出てきても、思わず他の応答、別の応答をしてしまい「経験の再現」に持っていけなかった、という場合もあるかもしれませんが、面談中には何度もそのチャンスが出てくると思いますので、焦らず待つことです。面談の流れに任せるのではなく、意図的に待つのです。

第10回論述試験の事例2の冒頭で、キャリアコンサルタントが「何かあったんですか?」と質問を投げかけました。それはクライエントが「気力が失せてきた」と感情を含んでいると思われる言葉を発した時です。

第13回論述試験事例2の冒頭で「最近、他の人に仕事を頼んで、心苦しいという思いになったことはありましたか。 」と問いかけています。直前のクライエントの「もやもやした気持ちが続いている」をとらえて、「もやもやした気持ち」を具体化しようとしています。

第14回でも「実際に仕事をされていて、自信が無くなったり、どう関わったらいいのかと思われることがあったのですか」と切り出しています。

第15回では「実際に仕事をされていて、自信が無くなることや、利用者さんとうまくいかなかったと思われる出来事があったのですか。」と、事例Ⅱの最初で問いかけています。

第16回では「・・・取り残された感じがすると言われましたが、その時はどんなことがあったのです。」と経験への問いかけを行っています。

第17回では:「空回りしている」や「わかってくれない」と言われましたが、何かあったのですか。

第18回では「施設を訪問されて、しっくりこなくて、迷われるようになったということですが、具体的に何があったのですか。」

第19回では「ご主人に「さらっと言われた。」と言われましたが、その時はどんなやりとりをされたのですか。」

第20回では「今回のことで、相談することをためらわれたことがあったのですか。」

第21回では「あれこれとご自分が考えすぎていることについて、課長から注意をされたんですね。どんなことがあったのですか。」

経験をきかれたその瞬間にクライエントは、自分への問いかけ(内省)が始まり、今まで外向きだった心が内向きに切り替えられ、具体的な経験を語りだすのです。

経験の再現を手助けする質問

クライエントの経験を再現するのを手助けする質問は、5W1Hを基本に、いつ、どこで、誰が、何を、どのように、なぜしたのか?その時周りには誰が居たのか?どのような場面だったのか、その人は何を言ったのか(その具体的な言葉をクライエントに発してもらう)、それを聞いてあなた(クライエント)はどう感じたのか、などその思いに至った経験を細かく具体的に再現してもらう。クライエントがその瞬間の絵(場面)を描くのをキャリアコンサルタントは手助けしながら見守る。そんなイメージでしょうか。ピンポイントで過去の一場面(瞬間)を鮮明に再現できると、その時に感じた過去の感情と、再現された時の今ここでの感情に微妙な違いを感じるのです。受け止め方を変えるターニングポイントとなるのです。

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