主訴を明確にするにはブレイクダウンが必要
面談をしていく中で、クライエントの主訴がぼんやり見えてくる時があります。来談動機から、主訴をより明確にするためには、主訴のブレイクダウンを促す質問をしていく必要があるのです。主訴とは今の不快を取り除きたい、ありたい自分を実現させたい、という相談者の願望なのです。
「頭痛」で医者にかかるときを想定してみる
例えば「頭痛」という現象に悩まされるクライエントが、医療機関に行った時の会話を具体的に考えると、分かりやすいと思います。
まず、医療機関に到着したならば、最初に聞かれることは「今日はどうなさいましたか?」です。それに対して「頭が痛くて・・・」と答えるのが来談動機です。次に聞かれるのは「頭痛はいつごろから始まったのですか?」といった、状況の質問になります。「頭痛」という抽象的な言葉(いわば、ぼんやりとした状況)をクライエントが今陥っている具体的な状況に落とし込んで明確にしていく質問をしていくのです。つまり「それは、どのように始まったのですか?」「なにかきっかけはありましたか?」「それは、どの程度の痛みなのですか?」「とくにどのあたりが痛むのですか?」「どのような痛み方をするのですか?」「どこが辛いのですか?」「どうして欲しいのですか?」などなどです。
この「頭痛」という身近な症状で考えると、キャリアコンサルタントの立場で、どのような質問をしたらよいのか、具体的にイメージできてきませんか?また、クライエントの感情、気持ちというもの理解しやすいと思います。上記のように質問されると、クライエントは、この状況(頭痛)から早く抜け出したくで、話したい事、知ってもらいたいこと、訴えたいことをどんどん話してくるのです。クライエントはいつでも話したいのです。だからそのことを質問してほしいのです。そしてもうひとつ大切なことは、クライエントが自分自身に問いかけるきっかけをつくっているということです。
信頼関係はやはり大前提
しかしながら、それを聞いてもらえないと判断すると話すことを止めてしまいます。この人に話しても解決しないと思ってしまうのです。そうならないためにやはり信頼関係が大前提となるのです。相手の話をしっかり受け止める。共感的に理解していることを伝える正に「傾聴」が必要なのです。それができていないと単なる「ヒアリング」になってしまい、例えば紙のアンケートに答えるような薄っぺらなものになってしまいます。
主訴のブレイクダウンを効果的にするための質問方法
主訴の具体化(ブレイクダウン)をするためのには、「受け止め」+「開かれた質問」というセットで行うのが基本です。普段から具体的な質問方法として、整理しておくと面接本番(ロールプレイ)で生かせると思います。例えば
- そうでしたか・・・。それで、そのように感じ始めたのはいつ頃からですか?
- そうだったんですね・・・。その点について、どのように感じていらっしゃいますか?
- そうなんですね・・・。そのように気がかりになり始めたころ、職場や家庭で何か変わったことはありましたか?
- そうでしたか・・・。それであなたのお悩みはどの程度のものなのでしょう?
- そうですか・・・。どんなとき、そういう気持ちになるのですか?
- そうなんですね・・・。どのあたりに、こだわりがあるのでしょうか?
- そうでしたか・・・。いま、どんなふうに感じていらっしゃいますか?
- そうなんですね・・・。それを分かりやすく言い直すとどういうことですか?
- そうでしたか・・・。今のお気持ちを言葉にしていただけますか?
抽象的なものから具体的なものへ切り分ける
クライエントの持つ抽象的なイメージをより具体的なものに一つ一つ切り分けていくことを促す質問をすること。この質問方法がが主訴のブレークダウンということになります。具体化されていく過程でクライエントにとっても、キャリアコンサルタントにとっても、「主訴」や「問題点」が自ずと明らかになってくるのです。
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