クライエントのファーストフレーズの受け止め方

実技試験
スポンサーリンク
スポンサーリンク

実技試験ではファーストフレーズの受け止め方で全てが決まる

国家資格キャリアコンサルタント試験の実技試験は、学科試験の当日に行われる「論述試験」と後日行われる「面接試験」です。「面接試験」ではあらかじめ設定された「相談者」と「ケース」に沿って面談(ロールプレイ)を進めていくものです。面談の流れは、キャリアコンサルタント役の受験生によってそれぞれ全く異なるものになりますが、唯一すべての受験生に同じ言葉が投げかけられるのが、クライエント役からの「ファーストフレーズ」(来談動機)です。このファーストフレーズの応答の仕方によって、その後のロールプレイの流れが変わってくると言っても過言ではありません。この応答を間違ってしっまうと15分間という短い試験時間内で流れを修正していくことは受験生にとっては至難の業と言えます。何事も最初が肝心。ファーストフレーズ対策は、合格ラインに到達するための重要な要素のひとつとなります。

過去問題におけるファーストフレーズ(ケース)の事例

面接試験でのクライエントの「ファーストフレーズ」(ケース)は、公表されていませんが毎回何パターンが用意されています。受験生は面接試験当日の本番までは、知る由もありません。しかしながら学科試験日に行われる「論述試験」の面談逐語録が、試験問題として公表されていますので、大いに参考になるのです。第4回試験(論述試験)以降のクライエントのファーストフレーズとそれに対するキャリアコンサルタントの応答の事例は次の通りです。

  • 第4回 CL「会社から出向の話があって、気持ちの整理がつかないので相談にきました。」→CCt「気持ちの整理がつかない。どういうことか話していただけますか。」
  • 第5回 CL「会社に見切りをつけて転職しようと思うんです。」→CCt「見切りをつけて転職ですか・・・、もう少し詳しくお聞かせいただけますか。」
  • 第6回 CL「このまま今の職場で仕事を続けていけるのかどうか分からなくなって相談に来ました。」→CCt「このまま仕事を続けていけるか分からなくなった。どういうことか話していただけますか。」
  • 第7回 CL「会社が嫌になりまして・・・辞めようかと思うんです。」→CCt「会社を辞めようかと・・・、もう少し詳しくお聞かせいただけますか。」
  • 第8回 CL「今の状況にどう対応していいのか分からなくて相談にきました。」→CCt「今の状況にどう対応していいか分からなくなった。どういうことか話していただけますか。」
  • 第9回 CL「最近仕事にやる気が出なくなって、どうしたらいいか困っています。」→CCt「最近仕事にやる気が出ない。どんな状態なのですか。」
  • 第10回 CL「自分は教師に向いていないのではないかと思い始めて、どうしたらいいか相談にきました。」→CCt「教師に向いていない?どういうことですか。」
  • 第11回 CL「就職したいのですが、会社に応募することに、なかなか踏み出せなくて相談に来ました。」→CCt「応募に踏み出せない?どういうことですか。」
  • 第12回 CL「このまま今の職場でやっていけるか不安で、ご相談に来ました。」→CCt「このままやっていけるか不安、何かありましたか。」
  • 第13回 CL「今の新しい部署に馴染めなくて、どうしたらいいかご相談に来ました。」→CCt「今の部署に馴染めないということですね。どうされたんですか。」
  • 第14回 CL「今の仕事が自分に向いているのかどうか分からなくなって、相談に来ました。」→CCt「今の仕事が自分に向いているかどうか分からなくなったということですね。どういうことですか。」
  • 第15回 CL「今の仕事に自信がなくなって、どうしたらいいか分からなくなって、相談に来ました。」→CCt「今の仕事に自信がなくなったということですね。どういうことですか。」
  • 第16回 CL「管理職としての立場に不安を感じ始めていて、どうしたらいいか相談に来ました。」→CCt「管理職という立場に不安が出てこられたということですね。どういうことですか。」
  • 第17回 CL「今の園長としての役割がうまく回らず、どうしたらいいか相談に来ました。」→CCt「園長としての役割がうまく回らないということですね。どういうことですか。」

論述過去問のファーストフレーズにおける相談ケースは、現在の職場で巻き起こっている「不安」や「不満」が圧倒的に多い

過去出題された論述試験の相談ケースは、ファーストフレーズを見る限りにおいて、現在の職場で起こっていることに対する「不安」や「不満」「葛藤」の解消を主訴としたと思われる相談ケースが9割以上となっております。第11回試験のみ就職活動に関する相談ケースになっています。しかしながらケースの内容を前提として実技試験(論述や面接)の試験対策を立てると、想定していない相談ケースが投げかけられた場合、対処が難しくなるのでお勧めできません。あくまで「相談者に寄り添い、相談者が自ら問題に気づいて、自己概念を修正し、前向きになれるよう支援する」というのがキャリアコンサルタントの役割であり、相談者との面談で行うべきこというのが基本です。どんな相談ケースでも基本から逸脱しないで臨むことが最も大切なことであると考えます。

「伝え返し」と「開かれた質問」(オープンクエスチョン)は必須

過去の論述問題の逐語録の冒頭を見ていくと、クライエントのファーストフレーズとその応答が、同じパターン、同じリズムで行われていることに気づきます。それは「伝え返し」と「開かれた質問」の組み合わせになっているということです。

「伝え返し」はクライエントが発した言葉をそのままキャリアコンサルタントの声でクライエントの耳に戻すことです。クライエントが発した言葉をキャリアコンサルタントが「受け止めました」ということを伝えること、クライエントが自分で発した言葉を自ら確認してもらうこと、キャリアコンサルタントが聞き取った言葉が正しいかどうかクライエントに確認してもらうなどの効果があります。

「オープンクエスチョン」(開かれた質問)は、クライエントが最も話しやすいことを自由に話してもらうときに最適の質問方法です。面談の冒頭ではクライエントにいかに話してもらうかが、非常に重要になってきます。ここで最初に「閉ざされた質問」(「はい」、「いいえ」で答える質問)をしてしまうと、クライエントの次の「はい。」という言葉で、話は終了してしまいます。キャリアコンサルタントがクライエントの話を聞かずに次の質問を考える、失敗パターンに陥りますので、ここはしっかり意識していきたいところです。

オープンクエスチョンで最強(最も限定要素のない)の質問の言葉は「どういうことですか」

クライエントのファーストフレーズに対する応答で「伝え返し」の後に「どういうことですか」「どういうことか話していただけますか」を意図的につなげる。これは練習というより習慣にするような意識付けが必要かと思われます。過去の応答事例では、第9回で「どんな状態なのですか」、第12回で「何かありましたか」、第13回で「どうされましたか」とある程度答えを限定する要素がある返し方ですが、いずれも「どうゆうことですか」という応答をした方が話の広がり(クライエントが話したいこと)が大きくなったと思われます。

「どんな状態」と冒頭でいきなり聞かれたら、どのように応えたら良いか、やはり迷ってしまいます。「何かありましたか」という経験への問いかけもこの時点ではちょっと早すぎるような気がします。「どうされましたか」も医者の問診や警察の事情聴取を連想させ、クライエントに抵抗感を抱かせる要素です。この段階では、あくまでクライエントを緊張させない応答が求められます。

日常会話とは異なる「意図的な面談」を意識する

キャリアコンサルタントが行う相談業務(面談)は、日常会話とは似て非なるものです。日常会話はお互いが自分の話したいことや興味のあることを話したり感想を述べたりするものです。しかしながらキャリアコンサルタントが行うべき面談は、「意図的」に行うことが必須です。クライアントの心の向きを外向きに変える、自己探索の支援をする、内省・自問自答を促す、クライエント自らの気づきを支援する、など。試験ではそこができるかどうか、問われているのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました