第30回論述試験解答例(JCDA実施分)

論述試験
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「問い1」の解き方

「事例の前半」(共通部分)と「後半A」「後半B」のそれぞれの内容と面談の流れを把握した後、指定語句に着目し、【後半A】【後半B】のCCtの応答(合計8か所)との関連を特定していきます。

  • 好意的関心」:【後半B】CCt7「何がそう思わせるのでしょうか。」
  • 決めつけ」:【後半A】CCt4「できないことをきつく問い詰めてもおかしくないですよね。」
  • 内省」:【後半B】CCt6「見下した言い方にモヤモヤするのは、何があるのでしょうね。」
  • 気持ち」:【後半A】CCt5「これまで民間業者に委託してそれを管理する経験はなかったのですか。」
  • 励まし」:【後半B】CCt5「それを言葉にされたのですよね。」

「気持ち」は、CCtがCLの感情を「受け止める」「受け止めない」という視点で捉えると特定しやすくなります。また「励まし」は漢字で書かれるとなじみが薄いのですが、アイビィのマイクロカウンセリング技法のかかわり技法「はげまし」として捉え、「語りを促す」という視点で特定していきます。

次に、展開の違いが発生する直前のCLの感情、すなわち【事例の前半(共通部分)】の最後のCLの発言を押さえておきます。ここでは「そんな見下した言い方をしたことに、あれでよかったのかとモヤモヤしています。」です

最後に、事前に用意しておいた「解答パターン」に当てはめて解答文を完成させます。下記は「解答パターン」の一例です。「解答パターン」を用意しておくことで、試験当日、落ち着いて素早く解答文の作成に着手できます。

「【後半A】では、CLの(感情)という感情を受け止めようとせず、「(自己探索が進まない具体的なCCtの応答の内容)」という(指定語句)のため、CLに寄り添うことなく、CLの自己探索が進まない展開となっている。一方【後半B】では、CLの(感情)という感情を受け止め、 「(自己探索が進む具体的なCCtの応答の内容)」という(指定語句)のため、CLの自己探索が進む展開となっている。」

「問い1」の解答例

「【後半A】では、見下した言い方をしてしまったCLの「あれでよかったのかとモヤモヤしてる」という感情を受け止めようとせず、「できないことをきつく問い詰めてもおかしくないですよね。」と決めつけたり、「何かしこりのようなものが自分の中に残って」というCLの気持ちを無視して「これまで民間業者に委託してそれを管理する経験はなかったのですか。」と話題を変えたりすることで、CLに寄り添うことなく、CLの自己探索が進まない展開となっている。一方【後半B】では、モヤモヤした時の経験の再現を促し、「それを言葉にされたのですよね。」と励まし、CLの語りを促したり、「見下した言い方にモヤモヤするのは、何があるのでしょうね。」と内省を促し「何がそう思わせるのでしょうか。」と好意的関心を向けることで、CLの自己探索が進む展開となっている。」

「問い2」の解き方

Dさんは、「ありたい自分」に意味づけられた「モノの見方・考え方」(自己概念)に自信を持てなくなった(「揺らぎ」)ため、相談に来ている

「揺らぎ」の背景には、Dさんが「他人事の世界」に追いやった「見たくない自分」「忘れてしまいたい経験」が控えている

「成果の出ない事業なんてありえない」というのは「見たくない自分」に紐づいている「借り物の自己概念」である

見たくない自分」とは、「他者を妬む自分」のこと

Dさんは「見たくない自分」に紐づいた「借り物の自己概念」を抱いており、「ありたい自分」に近づくためには「自己概念の修正」が必要になる

「相談者の問題」は、「揺らぎ」の背景にある他人事の世界に追いやった「見たくない自分」を創り出しているもの

「問い2」の解答例

①問題:「支援員が丁寧に一人一人に関わっている様子を聞いて嫉妬した」ということから、仕事上の立場や役割を優先させ、他社への関心が欠落した自己中心的なものの見方・考え方を持っていること

②その根拠:目標値に達しない理由を聞いて「成果の出ない事業なんてありえないですよね。」と高圧的に言ったこと

「問い3」の解き方

  • 「ありたい自分」をしっかりと自分の中に定着される(「ありたい自分」を視点に経験を確認していく)
  • 印象に残っている経験をその「ありたい自分」で説明できるかどうか検証していく(人生の今までの経験が「ありたい自分」につながっていると感じられるかなどを検証していく)
  • 「自己概念」を明確にして、「ありたい自分」に基づいた経験を生み出すための課題設定(「自己概念」を実現するためにはどのようなことをすればよいのかを考える)
  • 「見たくない自分」を観て「自己概念」(モノの見方・考え方)の修正を促す
  • 「自己概念」に新たな経験を取り込む(「自己概念の成長・発達」

「ありたい自分」とは、「今の自分の中」にあり、自分自身を「良い」と思う方向に向かわせるエネルギー。問題の出来事に対して「自分の問題としてとらえる」「何とかしようとする」「何とかできる」と思う世界

「問い3」の解答例

・Dさんの「ありたい自分」を明確にするため、「一人一人を幸せにしたい」と思うきっかけとなった出来事(経験)を語ってもらう。

・Dさんの「見たくない自分」を明確にするため、「妬み」を感じたことが印象に残った出来事(経験)を語ってもらう。

・Dさんの「問題点」を明確にするため、語られた経験が、Dさんの「ありたい自分」に基づいているのか、「ありたい自分」につながっているのか、「見たくない自分が」そこに隠れていないのか、Dさんと共に確認・検証していく。

・Dさんに「仕事上の立場や役割を優先させ、他社への関心が欠落した自己中心的なものの見方・考え方を持っていること」ことに気づいてもらい、Dさんが「自己概念」を修正して、仕事に前向きに取り組めるよう支援していく。

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