第29回論述試験解答例(JCDA実施分)

論述試験
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設問に変化

50分の試験時間は変わりませんが、設問数が4問から3問に減少しています。「サービス問題」と思われた、「問い2」キャリアコンサルタントの対応が「相応しい」か「相応しくない」かを問う問題が無くなりました。「相談者の問題点」を答える問題は「相談者の言動に基づいて「「具体的に」という条件と、「その根拠」を答える設問が加わりました。最終設問は「今後の展開」を記述する内容から「相談者の成長に向けた方針」を答える問題に変更されています。

過去問題を想定して準備された受験生の中には、少し戸惑いを感じた方も居たのではないでしょうか。しかしながら基本的にキャリアコンサルタントが面談で「何をするべきか?」ということを解答することに変わりません。

「問い1」の解き方

まず「事例の前半」(共通部分)「後半A」「後半B」の内容と全体の流れを把握します。次に指定語句に着目し、【後半A】【後半B】のCCtの応答(合計8か所)の関連を特定します。

  • 背景」:【後半B】CCt6「何か思いがあるのですか?」
  • 経験」:【後半B】CCt4「何かそのようなことはありましたか?」
  • 自問自答」:【後半B】CCt7「気遣わないと自分に何が起こると思われているんでしょうかね。」
  • 説得」:【後半A】CCt6「もう少し頑張ることで慣れていかれるのではないですか。」
  • 問題解決」:【後半A】CCt7「周りに相談できる人はいないのですか。」

次に、展開の違いが発生する直前のCLの感情、すなわち【事例の前半(共通部分)】の最後のCLの発言を押さえておきます。ここでは「失敗する不安に駆られる」「周りの人の評価が気になる」です

最後に、事前に用意しておいた「解答パターン」に当てはめて解答文を完成させます。下記は「解答パターン」の一例です。「解答パターン」を用意しておくことで、試験当日、落ち着いて素早く解答文の作成に着手できます。

「【後半A】では、CLの(感情)という感情を受け止めようとせず、「(内省が進まない具体的なCCtの応答の内容)」という(指定語句)のため、CLに寄り添うことなく、CLの内省が進まない展開となっている。一方【後半B】では、CLの(感情)という感情を受け止め、 「(内省が進む具体的なCCtの応答の内容)」という(指定語句)のため、CLの内省が進む展開となっている。」

「問い1」の解答例

「【後半A】では、CLの「失敗する不安に駆られる」「周りの人の評価が気になる」という感情を受け止めようとせず、「もう少し頑張ることで慣れていかれるのではないですか。」と説得したり、「周りに相談できる人はいないのですか。」と問題解決に走り、CLに寄り添うことなく、CLの内省が進まない展開となっている。一方【後半B】では、CLの「周りの人の評価が気になる」という感情を受け止め、「何かそのようなことはありましたか?」と経験を聞いたり、「何か思いがあるのですか?」と背景を聞いたり、「気遣わないと自分に何が起こると思われているんでしょうかね。」と自問自答を促すことで、CLの内省が進む展開となっている。」

「問い2」の解き方

Dさんは、「ありたい自分」に意味づけられた「モノの見方・考え方」(自己概念)に自信を持てなくなった(「揺らぎ」)ため、相談に来ている

「揺らぎ」の背景には、Dさんが「他人事の世界」に追いやった「見たくない自分」「忘れてしまいたい経験」が控えている

「人に対する気遣いが大事」というのは「見たくない自分」に紐づいている「借り物の自己概念」である

見たくない自分」とは、「周りから嫌われる自分」のこと

Dさんは「見たくない自分」に紐づいた「借り物の自己概念」を抱いており、「ありたい自分」に近づくためには「自己概念の修正」が必要になる

「相談者の問題」は、「揺らぎ」の背景にある他人事の世界に追いやった「見たくない自分」を創り出しているもの

「問い2」の解答例

  1. 相談者の問題:【後半B】のCL7「今回はそれが邪魔をしているのかな」という発言から、相談者の問題点は「周りから嫌われないためには、人に対する気遣いが大事であると思い込んでいるところ」と考えます。
  2. その根拠:【後半B】のCL8(気遣わないと)「周りから嫌われることを恐れているのかもしれませんね。」という発言から、「人に対する気遣い」と「周りから嫌われる」ということに関連性がないことに気づき始めているから。

「問い3」の解き方

  • 「ありたい自分」をしっかりと自分の中に定着される(「ありたい自分」を視点に経験を確認していく)
  • 印象に残っている経験をその「ありたい自分」で説明できるかどうか検証していく(人生の今までの経験が「ありたい自分」につながっていると感じられるかなどを検証していく)
  • 「自己概念」を明確にして、「ありたい自分」に基づいた経験を生み出すための課題設定(「自己概念」を実現するためにはどのようなことをすればよいのかを考える)
  • 「見たくない自分」を観て「自己概念」(モノの見方・考え方)の修正を促す
  • 「自己概念」に新たな経験を取り込む(「自己概念の成長・発達」

「ありたい自分」とは、「今の自分の中」にあり、自分自身を「良い」と思う方向に向かわせるエネルギー。問題の出来事に対して「自分の問題としてとらえる」「何とかしようとする」「何とかできる」と思う世界

「問い3」の解答例

・Dさんの「ありたい自分」を明確にするため、設計担当時の「うまくやってきた」という出来事(経験)を語ってもらう。

・Dさんの「見たくない自分」を明確にするため、「できない自分」ということが印象に残った出来事(経験)を語ってもらう。

・Dさんの「問題点」を明確にするため、語られた経験が、Dさんの「ありたい自分」に基づいているのか、「ありたい自分」につながっているのか、「見たくない自分が」そこに隠れていないのか、Dさんと共に確認・検証していく。

・Dさんに「周りから嫌われないためには、人に対する気遣いが大事であると思い込んでいる」ことに気づいてもらい、Dさんが「自己概念」を修正して、仕事に前向きに取り組めるよう支援していく。

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