「問い1」の解き方
最初に、「事例の前半」(共通部分)と「後半A」「後半B」のそれぞれの内容と面談の流れを把握します。そして、設問の指定語句に着目します。ここで、キャリアコンサルティングにおける各指定語句の捉え方を整理しておきます。指定語句の捉え方の一例は次のとおりです。
- 「気持ち」:相談者が経験した事実や出来事に対して、内面に生じたリアルな心の動きや主観的な受け止め方のこと
- 「説得」:キャリアコンサルタントの意見や価値観を相談者に押し付け、こちらの意図する方向へ誘導・コントロールしようとする不適切な関わり方のこと
- 「好意的関心」:相談者の表面的な言葉や事実だけでなく、その背後にある感情や意図、価値観に対して、評価や批判を挟まずに純粋な興味と温かい目を向ける姿勢
- 「内省」:相談者が自分自身の経験、行動、考え方、そしてその背後にある感情や価値観を客観的に振り返り、深く見つめ直すプロセスのこと
- 「価値観」:相談者が仕事や人生において「何を大切にしたいか」「何に価値を見出すか」という、行動や意思決定の基準となる主観的なものさしのこと
次に指定語句が【後半A】【後半B】のCCtの応答(合計8か所)のどの応答と関連しているかを特定していきます。指定語句の主語をCCt にするために語句を加えることで、関連個所をより多く見出せるようになります。(例:「気持ち」⇒気持ちを受け止めようとせず 「内省」⇒内省を促す 「価値観」⇒価値観を押し付けようとする)
- 「気持ち」:【後半A】CCt4「データのまとめや資料整理などを再雇用の人が引き受けるなんていうことは、よくあることですよ」
- 「説得」:【後半A】CCt6「私はDさんなら、今の仕事で十分力を発揮できていると思いますよ。そのうち楽になってきますよ。」
- 「好意的関心」:【後半A】CCt4「こういう仕事に意欲がわかない自分が情けないとはどういうことですか。」
- 「内省」:【後半B】CCt7「今、そのことを話してみて、何か感じられますか。」
- 「価値観」:【後半A】CCt4「データのまとめや資料整理などを再雇用の人が引き受けるなんていうことは、よくあることですよ」
特定ができたら、展開の違いが発生する直前のCLの感情、すなわち【事例の前半(共通部分)】の最後のCLの発言を押さえておきます。ここでは「こういう仕事に意欲がわかない自分が、なんだか情けなく思えてきたんです。」です
最後に、事前に用意しておいた「解答パターン」に当てはめて解答文を完成させます。下記は「解答パターン」の一例です。「解答パターン」を用意しておくことで、試験当日、落ち着いて素早く解答文の作成に着手できます。
「【後半A】では、CLの(感情)という感情を受け止めようとせず、「(自己探索が進まない具体的なCCtの応答の内容)」という(指定語句)のため、CLに寄り添うことなく、CLの自己探索が進まない展開となっている。一方【後半B】では、CLの(感情)という感情を受け止め、 「(自己探索が進む具体的なCCtの応答の内容)」という(指定語句)のため、CLの自己探索が進む展開となっている。」
「問い1」の解答例
「【後半A】では、「こういう仕事に意欲がわかない自分が、なんだか情けなく思えてきたんです。」というDさんの気持ちを受け止めようとせず、「データのまとめや資料整理などを再雇用の人が引き受けるなんていうことは、よくあることですよ」と、CCtの価値観を押し付けたり、「私はDさんなら、今の仕事で十分力を発揮できていると思いますよ。そのうち楽になってきますよ。」と説得することで、Dさんに寄り添うことなく、Dさんの自己探索が進まない展開となっている。一方【後半B】では、「こういう仕事に意欲がわかない自分が情けないとはどういうことですか。」と好意的関心を持って質問したり、「今、そのことを話してみて、何か感じられますか。」と、Dさんに内省を促す問いかけを行うことで、Dさんの自己探索が進む展開となっている。」
「問い2」の解き方
Dさんは、「ありたい自分」に意味づけられた「モノの見方・考え方」(自己概念)に自信を持てなくなった(「揺らぎ」)ため、相談に来ている
「揺らぎ」の背景には、Dさんが「他人事の世界」に追いやった「見たくない自分」「忘れてしまいたい経験」が控えている
「定年後も表舞台に立っていたい」というのは「見たくない自分」に紐づいている「借り物の自己概念」である
「見たくない自分」とは、「周りから認められていない自分」のこと
Dさんは「見たくない自分」に紐づいた「借り物の自己概念」を抱いており、「ありたい自分」に近づくためには「自己概念の修正」が必要になる
「相談者の問題」は、「揺らぎ」の背景にある他人事の世界に追いやった「見たくない自分」を創り出しているもの
「問い2」の解答例
①問題:周りから認められるということは、成果の見える仕事をすることだと思い込んでいるところ
②その根拠:開発の第一線で残って結果を出している同僚と自分を比べて、どこか焦っていたかもしれない、と発言したこと。
「問い3」の解き方
- 「ありたい自分」をしっかりと自分の中に定着される(「ありたい自分」を視点に経験を確認していく)
- 印象に残っている経験をその「ありたい自分」で説明できるかどうか検証していく(人生の今までの経験が「ありたい自分」につながっていると感じられるかなどを検証していく)
- 「自己概念」を明確にして、「ありたい自分」に基づいた経験を生み出すための課題設定(「自己概念」を実現するためにはどのようなことをすればよいのかを考える)
- 「見たくない自分」を観て「自己概念」(モノの見方・考え方)の修正を促す
- 「自己概念」に新たな経験を取り込む(「自己概念の成長・発達」)
「ありたい自分」とは、「今の自分の中」にあり、自分自身を「良い」と思う方向に向かわせるエネルギー。問題の出来事に対して「自分の問題としてとらえる」「何とかしようとする」「何とかできる」と思う世界
「問い3」の解答例
・Dさんの「ありたい自分」を明確にするため、Dさんが「世の中の人の役に立つものを生み出すことにつながった」と感じた出来事(経験)を語ってもらう。
・Dさんの「見たくない自分」を明確にするため、「周りから認められない自分」を感じたことが印象に残った出来事(経験)を語ってもらう。
・Dさんの「問題点」を明確にするため、語られた経験が、Dさんの「ありたい自分」に基づいているのか、「ありたい自分」につながっているのか、「見たくない自分が」そこに隠れていないのか、Dさんと共に確認・検証していく。
・Dさんに、「周りから認められるということは、成果の見える仕事をすることだ」という思い込みを抱いている、ということに気づいてもらい、Dさんが「自己概念」を修正して、仕事に前向きに取り組めるよう支援していく。

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